お位牌と戒名

戒名(宗派によっては法名・法号)とは、死者に贈られる名前と理解されていますが、本来の意味はそうでありません。仏教でいう五戒、十善戒、菩薩戒など厳しい戒律の生活に入った出家僧に与えられる、文字どおり、戒の名なにです。戒を授ける人を戒師といいます。東大寺の大仏を建立された聖武天皇が唐に戒師を求める使いを送り、それに、応じられたのが、あの鑑真和上です。鑑真和上は盲目になるまで大変な苦労を重ねて渡来されたのです。現代のお坊さんは昔のように、現世離れした生活を送ることはできません。しかし、仏教徒としての自覚をもって生きるように、各宗派の「授戒会」という講習や儀式を受けたものに、戒名が与えられるのです。生前、授戒会を受けなかった人にも、死後、戒名が与えられるのは、儀式の祈り、お坊さんが戒師の代わりとなって儀式を行うからです。
お位牌は、中国の後漢時代、故人の官位や姓名を小さな板に記してまつった儒教のならわしから始まったといわれています。それが日本に伝えられ、仏教と結びついたのです。
お位牌はご先祖さまを象徴する大切なものですが、あくまで中心はご本尊です。宗派によって違いもありますが、お仏壇のなかのお位牌は、必ずご本尊よ低い位置に安置するようにします。
ご本尊の左右に安置する場合は、ご本尊が隠れないよう、ご本尊より低いお位牌にします。(何一つ「戒」が守れない凡夫だから阿弥陀如来の誓願によって救われるほかはないというのが浄土真宗の教義ですから、戒名はありません。その代わり、本山に参り、門主(法主)から「おかみそり」(帰敬式)を受け仏弟子となった証として「法名」が贈られます。
生前にこの儀式を受けられなかった人は、お坊さんが門主に代わりに「おかみそり」を行い、法名を授けます。さらに、浄土真宗では、お位牌も用いません。死者は阿弥陀如来のはたらきによって浄土に生まれ変わるとされるので、故人の霊が宿るお位牌は必要としないからです。そこで、故人の法名は過去帳に書き込むだけにするか、仏壇店で法名軸を表装してもらい、お仏壇の左右にかけます。)
お位牌には「札位牌」「繰り出し位牌」があります。
札位牌は、故人一人の戒名を記して用います。繰り出し位牌は屋根が取り外しができるようになっていて、なかに数枚のお位牌を安置することができます。それぞれ、黒塗り、朱塗り、金箔のものがあり、大きさも様々です。
白木のお位牌は四十九日までだけに使うもので、四十九日を過ぎた白木の位牌は旦那寺に納め、札位牌か繰り出し位牌に取り替えます。

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