お仏壇へのお供え
●お供えについて
お供えは、仏さまやご先祖さまへの敬虔な心を表明し、供養するためのものです。
お仏前へのお供えは、宗派によって違いがありますが、一般には「五供」という
五つをあげることができます。
1. 香 一度火をともすと芳香を放ち続けるところから、悟りの世界に至るため
の修行道=六波羅蜜を命ある限り続けていくという誓いをあらわしす。
2. 花 六波羅蜜の忍辱にあたります。仏さまの広い心を感じ、あらゆること
にこたへていく心をあらわしているといわれます。
3. 灯燭 六波羅蜜の知恵をあらわします。迷いに満ちた暗黒のこの世に、
仏さまの真実の火をともすという意味があります。
4. 浄水 六波羅蜜の布施をあらわします。人のために自らが進んで物事をやる
気持ちからおこっているといわれます。
5. 飲食 六波羅蜜の禅定にあたります。わたしたちがいただくものと同じ物を
お供えすることによって、仏さまと一つにつながっている我が身を見
つめるのです。
●香
香は、主に抹香と線香の二種類があります。抹香は、沈香・白檀・丁子などの
香水を粉末 にしたもので、仏事のときの焼香に使います。これに対し線香は、
それらの香水の粉末を練り合わせて接着剤や整形剤で一本にしたもので、日常
に使っています。この区別は、宗教的な意味合いからではなく、抹香にはタネ火
が必要なのに対し、線香は着火しやすく長持ちするからです。点火の際、マッチ
やロウソクから火を移してもかまいませんが、線香の火に口で息を 吹きかけて
消してはいけません。あいたほうの手かロウソク消しのうちわで必ず消しま
しょう。お供えする本数は、各宗派によって定められていますが、一般的に
1〜2本です。お仏壇の安置してある部屋全体に、ほのかな香りがいきわたる
程度がいいのです。
●お花
仏さまにお供えするお花は仏花といい、お寺などではきちんと決められています
が、家庭では、庭に咲いた花でも、野で摘んだ花でもかまいません。ようは、
その気持ちが大切なのです。ただ、爽竹桃や蔓珠沙華のような毒花やぼけなどの
ようなトゲのあるもの、花粉が落ちてお仏壇が汚れてしまうものなどは、お供
えするお花としてふさわしくありません。仏さまの方にお花の表側を向けるので
はなく、わたしたち礼拝する側に表がくるようにします。これは、花で荘厳され
た仏さま世界を、私たちが味わうためなのです。また、金蓮華といわれる常花
(造花)をお仏壇の中壇の左右にお供えすることが、浄土真宗以外の宗派で行われ
ます。
●灯燭
お仏壇への灯明は、灯籠(置灯籠・吊灯籠)や燭台、輪灯などによってともされ
ます。灯籠や輪灯の灯芯には菜種油が使われ、燭台には和蝋が用いられてきま
したが、今ではそうもいかないようです。灯籠や輪灯に電気を使用しても、お供
えの心だけは大切にしましょう。また、おつとめがすんだら、灯明は必ず消す
ようにします。
●浄水
仏さまにお供えする水は、閼伽といって清浄な水のことですが、もちろん実際は
水道の飲料水でかまいません。また、茶湯をお供えします。朝、私たちが飲む温
かいお茶を、まず仏さまにお供えするのです。さげたお水や茶湯は、むだになら
ないよう草木にかけるとよいでしょう。
浄土真宗は、浄水供養をしませんから注意が必要です。
●飲食
飲食には、「仏飯」という日常のお供えと「霊供膳」という法事のときなどの
お供えが あります。仏飯は、毎朝、私たちがいただく前に炊きたてのご飯を
お供えします。朝、お供えした仏飯をお昼にさげるのが一般的ですが、夏などは
いたみやすいですから、早めにさげてもかまいません。「霊供膳」は一汁三菜の
精進料理です。つまり、魚や肉といった「不殺生戒」に触れるものは避けなけれ
ばなりません。
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